「ふるさとづくり2000」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

ほのぼのとした温もりのある町をめざして
徳島県那賀川町 社会福祉法人那賀川町社会福祉協議会
「社会福祉法人那賀川町社会福祉協議会」(代表・臣永正廣さん、メンバーは全住民が対象)は、昭和38年に発足。昭和43年に法人化し、在宅福祉を重点に活動してきた。しかし、昭和60年、住民のニーズにそった活動の必要性から、住民の意識調査を実施。高齢者福祉を中心にした活動の一層の充実をはかり、地域ぐるみで「温もりのある町」や「安心して暮らせる町」「楽しく暮せる町」にしていこうと、協議会では意欲を燃やしている。


独居老人たちの健康を守る配食サービスの拡充

 町の高齢化率は21%余と進んでいる。独居老人と高齢世帯を合わせると、全世帯の1割近く。それに寝たきり老人もいる。調査では、そうした高齢化の実情と、人間関係の希薄化やボランティア活動の必要性などが明らかになった。例えば、入退院を繰り返す独居老人の中には、十分な栄養が採れない食事が原因で健康を害する人もいた。
 会では、ボランティアと話し合った結果、調理ボランティアが発足、独居老人を対象に月2回のふれあい会食を始めた。さらに、月1回の赤飯の配食、友愛訪問も実施。平成2年4月からは、会が町の委託で週3回の昼食宅配サービスを始めた。利用料は1食300円。対象は、65歳以上の独居老人と高齢者世帯、70歳以上の昼間家にいる留守番老人だ。
 平成4年10月からは、老人達の希望もあって、年間359日の昼食宅配サービスが実現した。配達はボランティアの協力で、行ったついでに老人の話し相手になって喜ばれている。また、寝たきりや体の不自由な老人には、枕元まで持っていき、すぐ食べられるように気遣っている。しかし、ボランティアも尽くすだけではない。老人からは野菜の作り方や、いろいろな相談に乗ってもらえるなど、教えられることも多いという。


ボランティアは2000人、温もりのある人間関係目指し

 「隣人との繋がりの薄れ」を解消しようと、花いっぱいコンクールを始めた。グループ単位の花づくりで、今では町内に60のグループが育ち、地域は1年中美しい花が咲いている。こうして、いろいろな活動を合わせると、ボランティアは2000人を数えている。
 ボランティアグループの中には、車椅子利用者がのんびりと温泉につかりたい、という願いをかなえているグループもある。1泊2日の日程で、観光バスの乗り降りから、生活面をボランティアが支えているのである。
 子どもたちのボランティアグループ「スマイル工場」は、1人暮しの老人が、いつも1人で寂しい思いで食事をしている現状を知り、そうしたおばあちゃんの家を訪問して、一緒に食事をしたり寝泊まりするなど、ほのぼのとした温もりのある活動を続けている。
 協議会のイメージキャラクターはモグラで、町の方言で言う「おんごろう」と命名。その「おんごろう」を老人から子どもたちまで皆で作り上げた。88歳の老人が竹を割って骨組みを編み、大人や中学生らが紙や布、ガラス繊維などを張ったり塗装して、身長1.8メートル、ウエスト3メートルの福祉おんごろうが完成し、温もりのある福祉の町の象徴となっている。