「ふるさとづくり2000」掲載 |
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞 |
串柿まつりで村おこし |
和歌山県かつらぎ町 四郷串柿祭り実行委員会 |
かつてミカンの産地であった四郷地区、生産調整の煽りに勝てず離農者が出るなど地域の存続をも危惧される状態であった。 そこで地域の伝統農産物である串柿に生産転換を図り、今では日本一の串柿生産地となって、全国に知られるようになった。 平成元年に「四郷串柿祭り実行委員会」(代表・松岡伸好さん、メンバー数50人)を組織し、地域の発展と活性化を目指した活動を展開している。 400年の歴史をもつ串柿を媒体に 昭和50年頃から始めた串柿への生産転換とともに、過疎化・高齢化に歯止めをかけ、地域の活性化を図る目的で、四郷自治振興協議会を設立、文化施設や遊歩道の建設、郷土芸能(千両踊り)の復活、宿泊施設の整備も行ったが、山間地で知名度の低さもあって、観光客の増加を見ることができなかった。 そこで、400年の歴史をもつ串柿を媒体に、四郷の自然と人情に触れてもらうイベントを企画する実行委員会(農協四郷支所運営委員会、串柿生産部会、自治振興会、千両踊り保存会生活改善友の会、町議会議員等)を組織した。度重なる協議の結果平成元年11月23日(勤労感謝の日)に、第1回「串柿まつり」を開催することに決定した。 四郷小学校をメイン会場に、主婦が考案した柿料理のほか、ふるさとの味試食会・即売会、串柿作り体験コーナを設けた。同時に、大宮神社を舞台に「郷土芸能千両踊り」の上演、串柿の里ハイキング、四郷の風景撮影会等も実施した。来客の送迎には、JR笠田駅と会場間をマイクロバスを準備対応した。結果は、大成功でとくに千両踊りは好評で、現在町の郷土芸能である四郷千両太鼓の復活へつながった。反省会では、串柿の市場開拓と全国PR、柿の葉ずし、梅干しなど落葉果樹の加工と販売促進、宅配制度の確立、観光客の誘致等が課題になってこれから住民一丸で町づくりに取り組む意識を高めた。 住民主体の地域振興 前年の反省を踏まえ、2回目は宣伝ポスターをJR等に配布しPRを強化。ふれあい餅つき大会や串柿づくり実演、フォトコンテストを新たに企画し加えた。まつりは、大盛会で住民に勇気を与えたが、山間地でのまつりを、よりスムーズに行うためには、道路整備の必要性や予算確保が問題として残った。 第3回は、千両太鼓の実演、串柿づくり体験を無料にしたこともあってか、参加者が増加した。串柿が広くPRでき、生産農家の間に、串柿の大切さや地域の特殊性を考えた生産管理への気運が芽生え、さらに期待がもてる状況になった。 4回目を迎えるに当たり、継続か否かの問題もあったが、村おこしの一環とし、伝統的まつりに盛り上げる方向で開催。その後も毎年イベントがマンネリ化しないよう工夫を凝らし継続している。7回には「串柿の里」物産販売所を設置、町外から5000人を越える人びとで賑わった。 昨年、10回目の記念大会を迎えたが、同町では最大規模の村おこしイベントになった。住民主体の取り組みを大切に、地域振興を図っている。 |