「ふるさとづくり2000」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

薮椿の原生地を自然公園に
静岡県東伊豆町 東伊豆町大川区
 東伊豆町大川の山には、昔から椿が群生しており、昭和の初期にはこの椿で炭を焼き、良質な木炭は地区の大きな収入源になっていた。しかし今では、炭焼きの姿もなく、椿の周辺は雑木に被われ、いくつか崩れた炭焼き窯が点在し当時を偲ばせていた。
 平成2年から「東伊豆町大川区」(区長・木村良一さん、メンバー数15人)は、この椿を地域のシンボルにしようと「大川自然椿園」の造成に取り組み、椿園祭り等を開催するまでになった。さらに、観光自然公園化に向け活動を続けている。


4回目を迎えた椿園祭り

 同区のメンバーは、それぞれ仕事の休みを利用し、手弁当で出役しながら椿周辺の雑木を伐採し、園内の歩道・ベンチ・案内板等手作りで設置。平成2年度から昨年まで、拡張整備を継続し9年間で2.01ヘクタールの「大川自然椿園」を造成した。
 今年、さらに0.4ヘクタールを拡張、完成の暁には2.41ヘクタールで、この規模が今後の管理上限界としている。
 平成8年3月から「椿園祭り」を実施、毎年続けて開催し今年で4回目を迎えた。このイベントは、区役員が「手づくりで椿園をつくった」ということから、マスコミでも報道され、多くの住民や観光客が訪れた。また、この祭りには、地区の婦人会・商店会・観光協会・保養所組合・子ども育成会が協力し、おしるこ・焼きそば・ししなべ等の屋台を出店、訪れた人びとで大変な賑いを見せている。
 また、昨年の椿祭りでは、椿林で昔使用していた炭窯を、当時の製法でメンバーが復元した、「炭焼き窯」で炭焼きを実施した。祭りに訪れた観光客は、きわだ煙が発つ様子を珍しそうに見学していた。この炭焼きは、年数回行い、製品を販売したり、子どもたちにも体験させている。


地域の自然公園化を目指し

 この椿園は、メンバーがボランティア精神を発揮、作りあげたことから、この行動を伝統と誇りにして、これからの地域づくり活動の自信に繋げてきた。それは、地域を愛する心の醸成・自然保護思想を培い・安らぎと潤いのある地域づくりに向けてのさらなる実践や計画に現れているからである。
 将来、地域の近くを135号線のバイパスが通る予定があり、これを見込んで「花の散歩道」づくりを手がけている。2キロほどの農道両脇に、区の事業で植栽した桜・つつじ・萩の管理を実践。その他に、竹ケ沢公園・向田川遊歩道・向田川の渓流釣り場・石神の滝等の整備によって、付近一帯を椿園と合わせ、新たな自然公園化を計画、実現に向け活動している。
 椿園の造成では、具体的な計画がないまま、とにかく実行が先と、拡張整備に取り組んだ。最終的には、今の規模が適正で維持管理することになった。しかし、管理には年間50人工程の労力が必要で、協力できるボランティアを10人ほど募り、管理を委託する計画である。とくに、近くに、雨が降ると数日間水の落ちる幻の滝(石神の滝・高さ14メートル)を、毎日見られるようにする、導水工事を長期展望で計画している。