「ふるさとづくり2000」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

ふるさと再構築と新しい地域づくり
石川県七尾市 七尾市徳田地区ふるさと活性化推進委員会
 マイホームに閉塞し、連帯意識の希薄となった農村を再構築しようと、昭和60年に、徳田地区に「七尾市徳田地区ふるさと活性化推進委員会」(代表・堀喬さん、メンバー数77人)を発足。同会を中心に、地場産業や地域文化の振興、新しい地域連帯の形成、人材育成などの事業や活動を次々に企画するなど、意欲的なむら起こしを地区民一丸となって取り組んでいて、会の念願だった“ふるさと再構築”が着々と進んでいる。


徳田まつりが地区をひとつに

 住民の融和と連帯意識を高めることを狙いに、「徳田まつり」を企画した。昭和60年10月、徳田小学校に特設リングを設け、地区内16町会に伝承されている獅子舞や太鼓打ちの競演と会員による模擬店などが出店、2千人を超える人出で大変な賑いとなった。
 年々盛大な恒例行事となった祭りは、平成7年の第9回大会からは会場を新しく整備された史跡公園に移し、地区町内会連合会を中心に21団体で「徳田まつり実行委員会」を組織、名実ともに地域を挙げての一大行事となった。そして、この実行委員会は、以後、まつりの企画や運営だけでなく、総合的な地域振興を図るふるさと活性化推進の原動力となった。


地域文化・特産品作りなどむら起こしにかける意気込み

 立村100年を記念して、平成2年、公募で「心に花を」と題する徳田の歌を制定した。作曲・編曲・振り付けもある徳田の歌は、小学校や婦人会など多くの場所で披露され、人びとに愛されている。また、伝承文化の保存にも熱心だ。16町内会全てにある獅子舞の保存にも力を入れていて、市の文化産業賞を受賞した地区もあるほどだ。太鼓グループも5町で結成されていて、地域の行事やボランティア出演などで喜ばれている。
 地区特産品開発では、高地野菜で漬物作りや筍の缶詰加工、山菜の佃煮や干し菓子作りなどに農産物加工グループが取り組んでいる。焼物(陶芸)グループは、郷土の土を生かして湯呑や小皿、花器など、陶芸を楽しみながら郷土ゆかりの「国分寺焼」として量産、即売できるまでになっているし、竹炭研究グループは、豊富な竹材を利用した竹炭製造に取り組み、商品として大変好評だ。
 青年層が地域との関わりを薄くしている今日、ふるさとを活性化するのに欠かせない若者を育てようと、既成青年団とは性格を異にした20代の若者で「ヤングサロン」を結集した。現在、20人の登録会員が中心となって、自主プランによるスポーツ活動や、女性会員による着付・料理体験などの活動を通して仲間作りに努めている。また、地域の行事などに積極的に参加し、ボランティア活動の先頭に立ち、交通防犯運動などで活躍している。
 「健全な子どもの育成とふるさと学習」では、家庭教育推進会や子ども育成会、公民館、小学校PTAの連携で、子どもたちが夏休み中に自分たちの住む地域の理解を深めるために、町の特色をみつける活動を通して、『みつけたぞ!』の冊子をまとめたり、町に残る伝承民話を集めて、郷土の民話集を平成12年度までに刊行しようと準備を進めている。