「ふるさとづくり2000」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

紙芝居によるふるさとづくり
埼玉県坂戸市 紙芝居ボランティアグループ「あじさいの会」
 物語や伝記、季節の行事、平和や福祉、自然保護等を題材にして、数々の紙芝居を上演、「心のふれあい」を広める活動に取り組んでいるのが「紙芝居ボランティアグループ・あじさいの会」(代表・井出裕子さん、メンバー数11人)。
 昭和62年子ども会や文庫活動で活躍していた仲間が集まり、グループを結成。公民館、学校、福祉施設、地域の集会施設等を会場に上演、幅広く触れ合いを深めるとともに、二年続けて紙芝居サミットを開き、広く地域を越えた活動も展開している。


共感の喜び・心の触れあいを求め

 同会の紙芝居は、上演場所や対象者、催事の目的にふさわしい作品を選択して演じる等、大きな特徴を持っている。それは、ふれあい広場や大きな会場では、大型紙芝居の作品で、見る人びとに強いインパクトを与える。坂戸の昔話では、それぞれの地にまつわる伝説の作品である、とともに話に出る昔の現物を持ち込み、実際子どもたちに手で触れさせることもやっている。
 近年は、メンバー各自でオリジナル作品を生み出し、テーマメロディーを、キーボードで演奏する。音響効果と相まって、作品は感動的で、より深く心を満たしてくれる。
 同会の活動は、今から12年前、子どもたちに、紙芝居を知ってもらうことを狙いに、地区の昔話を取り入れた作品を上演したのが始まりである。中央公民館を皮切りに、年4回のペースで各公民館を訪問、子どもたちに喜ばれるとともに、心のふれあいを深め「夢と豊かな心」を培うことにも役立った。
 その後は、児童センターや老人ホーム、幼稚園や保育園、小中学校を訪問。室内ばかりでなく公園や広場でも上演した。
 さらに、新入生歓迎会・七夕・夏祭り・敬老会・文化祭・クリスマス会・新年会・卒業祝い等、様々な場所や行事に招かれ幼児から高齢者まで幅広い層に喜ばれ、触れ合いを深めた。
 この活動が、平成3年、テレビ埼玉で「心に残る紙芝居あじさいの会」と題して放映され、県民に広く紹介され、反響を呼んだ。
 同会は、平成9年、紙芝居を広める講座、全4回を開催。広報さかどで知った市民30人が参加、専門家の講演、作品の実演、製作方法等に多くの感動を呼び、これまで未知だった紙芝居の奥深さをともに学んだ。これが縁で新会員も増えた。


紙芝居サミット

 昨年6月、これまで蕨市で開催していた「紙芝居サミット」の広がりを求め、坂戸市の文化施設オルモで開催。同会のメンバーを中心に実行委員会を結成、世話役を努めた。県内外から160人が参加、この活動に関わる層の厚さを実感した。
 紙芝居を演じる人以外にも、温かい物語の世界に触れる機会となったサミット。次回も是非参加したいとの反響に、今年も6月に開催、多くの個人や団体が集まった。この様子が新聞報道され、早速川越市学童保育指導員研修会への招聘を受けた。
 メンバーは、地域を越えた広がりに向け、「機会があればどこへでも出向く」と語っている。地域重視の、住み良い街を望んだ変わりなき活動は続く。