「ふるさとづくり'01」掲載
<集団の部>ふるさとづくり賞 振興奨励賞

自主運営による高齢者大学の開催
岐阜県付知町 青川フェニックス大学
 付知町は、町面積(7336ヘクタール)の88%が木曽檜を中心とした山林であり、もっとも奥深い山々2300ヘクタールは国有林である。これらの山々に源を発した付知川(別称・青川)は峡谷、裏木曽県立公園をつくって南流し、両岸に東西約1〜2キロメートル、南北約8キロメートルの耕地と人家を形成した(町面積の8%)。ここに現在、約7000人の町民が住んでいる。
 近年の少子化・高齢化の問題は付知町でも危惧されている問題であり、町民が安らぎと生きがいを持ち、明るく活力ある生活の創造を目指して取り組み、平成10年より、高齢者が自らの力で生きがいを追求していける学習の場として、「青川フェニックス大学」を開講し、高齢者に対して学習機会の充実を図っている。


「健康づくり」を意識した講座を開設

 現在の受講生は老人クラブ会員の約1割(会員総数1300名・老人クラブ加入率61%)、女性の受講生が多い。昨今の健康ブームもあり、高齢者全体に自己の健康に対する関心は高い。人気講座の「山野を歩こう」は、付知町内の史跡や付知峡の神宮備林等、日常個人ではなかなか行くことができない場所を見学し、新たな付知町発見ができる。秋には町外へも足をのばし体づくりと心のリフレッシュができると受講生から好評を得ている。
 今年度は、日本舞踊・詩吟と公民館講座で行われてきた絵手紙を加えることにより受講生の要求に答えている。また、パソコン講座も開講予定がされている。講座は複数受講を可能にするため、会場や講師との連絡調整を行い、講座の日時が重ならないように努めている。そのため全体の約30%の受講生が2講座受講している。中には5講座を受講している人もあり、その学習意欲には頭が下がる思いである。



高齢者大学運営委員による自主的運営

 フェニックス大学運営にあたっては、講師の手配から講座内容の検討・会場設営等そのほとんどを運営委員及び受講生が行っている。講師陣は、町内の高齢者であり彼らが長年に渡って学習してきた内容を受講生に指導・助言している。
 普通部における講座内容は、町政のあらましから始まり、健康づくり・福祉問題(介護保険等)・環境学習・地域学習等広い範囲に及んでいる。昨年度の町施設見学は、広域行政によって建設が進められている中津川資源センター・ゴミ処分場、東美濃ふれあいセンターへと足をのばしゴミ問題の現実を見つめることができた。
 専門講座の講師については、13講座すべてが高齢者大学運営委員及び講座生が担当している。受講した講座については次年度も再び受講することができるため、引き続き受講し次のステップに向かって努力している受講生も多い。
 学習の成果については、文集等の冊子や作品にし、町の文化祭に展示したり、高齢者大学の卒業式の際に展示や発表をしたりしている。また、受講生全員に対し感想文を募集し、感想文集を発行している。


成果

(1)健康に関心を持ち、講座に参加する高齢者たちが増えつつある。
(2)講座に集う高齢者たちが活動を通す中で仲間づくりを進めることができている。
(3)講座が1年間で卒業という方法をとっているため、受講生の固定化が解消されている。
(4)受講生という受け身の立場ばかりでなく、名簿作成や受付等進んで参加する受講生の姿が見られてきた。
(5)今までに閉校された専門講座の中には、自主的なサークル活動として継続されている講座もある。
(6)高齢者大学の講師ばかりでなく、地域の要請を受けて地域の集会場で活躍する講師が表れた。
(7)公民館講座を受講し、修了した方がフェニックス大学の講師として学習の成果を生かしている。