「ふるさとづくり'01」掲載
<集団の部>ふるさとづくり賞 振興奨励賞

環境と口で言うよりまず行動
東京都墨田区 墨田区横川生活学校と墨田区生活学校連絡会
 墨田区横川生活学校は、物不足時代から、いかに限りある資源を有効に活用できるかを考え、「物を大切にしよう」を合言葉に不用品・廃品(古紙類・段ボール・ぼろ・瓶類)の分別回収を実践してきた。
 当時は、廃品回収と言うのが一般的で、奉仕活動を通じて、活動資金が調達できる、いわば一石二鳥の手段でもあった。
 その後、高度経済成長を経て、大量生産、大量消費、大量廃棄の時代となるが、この間も不用品・廃品回収は継続してきた。
 現在でも、毎年開催の不用品交換バザーは盛況を呈している。平成9年には、横川地区に、区のリサイクル活動センタ−が出来た。
 しかし、ある時回収された古紙がダブつき有効に再利用されない状況に疑問を持った。
 そこで同校は、区内2校の生活学校に呼びかけ連絡会を結成し、区のリサイクル事業協同組合と話し合い、再生紙のトイレットペーパー「すみだっ子」を誕生させた。
 それから、区民へのアピールにも力を入れ今年5月末現在まで、40万ロールを完売した。メンバーは、わがまちをみんなが誇り、愛着を感じ、ふるさとと呼べるまちになるよう、少しの我慢と、少しの努力を続けていきたいと頑張っている。


3校のパワーで出口を開拓

 同校は、「物を大切にしよう」の精神で、リサイクル活動を連綿と継続してきた。
 しかしある時、古紙がダブつきの話しを聞き、大きなショックを受け、これまでの活動が、空回りしているのかと悔しく思った。
 区では、廃品回収量に応じ、資源再利用実践団体に報奨金を支給している。同校は、この金で、かつて23区共同で開発したトイレットペーパー“みどりの夢23”を購入、各家庭に配り再生品利用PR活動を推進した。
 ところが、“みどりの夢23”は、質・量とも満足いく品であったが、値段の点で不評をかってしまった。
 苦しい時代を生き抜いた世代と異なり、若い世代の利用者から注文や意見がでて、区の担当者を通し再三改良を申し入れたが、実現することなく市場拡張に至らなかった。
 区内では3校の生活学校がそれぞれの地域で活動している。しかし、古紙のダブつき問題を前に今一つ力不足を感じていることで連絡会を結成、3校のパワーで活動することにした。
 出口の見えないリサイクル活動に、何とかしなければと「出来る事から始めよう」を目標に、少しの我慢と、少しの努力をみんなでしようと呼びかけていった。
 そんな折りの平成11年5月、区内リサイクル事業協同組合(R団連すみだ)の設立5周年記念式典に都生連会長が招待された。
 この席には、区長はじめ行政関係者や業者代表が大勢出席していた。この機会を逃してはと、挨拶で「古紙を集めるだけではリサイクルとは言えない。再生品の消費方法まで考えなければならず、そのためには、区・消費者・業者が一体になって出来る事から行動を起こす事ではないだろうか。」と日頃の思いを込めて訴えた。この挨拶を聞き、R団連すみだの理事長は「ビビビッときた」と後で話した。


トイレットペーパー「すみだ子」誕生

 記念式典が終わるとすぐに、業者同士が呼びかけて行動を起こした。資金集め、古紙問屋、製紙工場との交渉を続け、区内循環型トイレットペーパーを作る計画を生活学校連絡会に報告してきた。
 その対応の早さにに驚いた。早速、各校委員長と話し合い、販売PR部門を受け持ち協力することにした。
 それから、R団連と同連絡会で再三会合を持ち、まず区民に末永く利用される製品にし子どもたちにも愛されるキャラクターをと、考え出来上がったのが「すみだ子」である。
 再生品は高い(みどりの夢23:1袋6ロール、410円)というイメージを払拭するため、売値を300円以下にと話し合った。
 その結果、1袋12ロール、280円で合意、1ケース以上の購入者には、8袋:2200円で廃品回収業者がボランティアで宅配する事で、住民と業者の関係も深まった。
 さらに、区民へのアピールに向け、区の協力で10月のすみだ祭りでの発売を決めた。
 9月早々には、第1号製品が出来上がったので、横川地区の祭礼縁日で、同校が報奨金で購入した「すみだっ子」を住民に贈呈した。
 この様子は、さくらケーブルテレビが取材され、すみだっ子の誕生経過などが放映された。マスコミの威力もあって、すみだ祭りでは5万ロールが完売した。
 その後、12月まで白髭公園フリーマーケットやリサイクルフェアー等で販売、この時点で15万ロールの完売である。
 平成12年「墨田やさしい町宣言」がスタート、活動内容を紹介する小冊子に、資源循環型への思いやりから生まれた「すみだ子」も掲載され、現在さらにPRに力を入れている。