「あしたのまち・くらしづくり2014」掲載
あしたのまち・くらしづくり活動賞 振興奨励賞

目指せ!「えだまメンチ」でB1グランプリ!!―食を通した街おこし!!―
群馬県沼田市 群馬県立利根実業高等学校 生物生産科 食品文化部
1.活動記録
(1)食品文化部の活動概要
 本校食品文化部では、「農家の母ちゃん」をコンセプトに様々な活動を行っている。一般の食品製造では、食べる人の顔が見えず、画一的な食品を大量に製造する工業的な技術を学ぶことが多い。これに対して「農家の母ちゃん」は、農作業を手伝いながら、多少形は悪くても食べる家族のことを思いやり、自分の家でとれた農作物を工夫しながら安全・安心を第一に家族に提供する。その結果、家族は笑顔に包まれる。
 本校食品文化部も地域は家族を合い言葉に「食を通した地域貢献活動で、農家の母ちゃんみたいに地域を笑顔で包みたい」という目標で取り組んでいる。この目標を達成するために、米・そば・果樹・商品開発の四つの視点から「食」をテーマに地域と連携しながら活動を行っている。
①米栽培を通した地域交流活動
 平成19年度から、隣接する小学校の5年生と米栽培を行っている。本校食品文化コースの3年生が種まき、田植え、稲刈り、脱穀・もみすりを小学生に指導している。秋には給食に招待され、収穫した米で作ったおにぎりを一緒に食べている。この他に「小学生かかしコンテスト」や幼稚園児と「手巻き寿司パーティー」を実施した。
 さらに、「全国農業高校お米甲子園」で2年連続金賞を受賞した学校で栽培している米に沼田商工会議所と連携して「お利根ちゃん~実にうんまい!!~」というブランド名を付け、商標登録を行った。
②そば打ちを通した地域交流活動
 平成17年度から地域の特産品であるそばの栽培およびそば打ちを行っている。そば打ちは、「素人そば打ち段位認定大会」で昨年までに95名の生徒が段位を取得し、そのうち42名は2段を取得している。さらに、全国高校生そば打ち選手権大会等に参加し、26年度は個人の部で優勝と3位、団体の部で準優勝という結果を得ている。これらの活動を通して得たそば打ちの技術を学校や地域のイベントで「そば打ち指導」等を行い、そば文化の普及に努めている。この他に地域のそば団体と連携しながら各種大会の運営補助や地域イベントヘ参加している。
③果樹の地産地消、6次産業化に関する地域交流活動
 平成25年度から地域のブルーベリー生産組合から商品開発の委嘱を受け、開発を行った。平成26年6月に完成し、7月に行われた今年度の開園式で披露した。
④地域の特産品を活用した商品開発・普及に関する地域交流活動
 地域の特産品を活用して商品開発を行う活動や地産地消・6次産業化を推進する活動を行っている。

(2)「えだまメンチ」に関する活動
① 平成23年度に沼田市から要請を受け、特産品の「枝豆」を活用したメンチカツである「えだまメンチ」を開発する。
② 平成24年度に地元企業と連携して冷凍「えだまメンチ」の商品化に成功し、商標登録、その使用基準を作成する。
③ 平成23年度から沼田市内の学校給食として2年で約9000個提供する。給食が提供される日に、代表の生徒が出身小学校に出向き、枝豆栽培の現状や枝豆の栄養価等について説明している。26年度については、10月24日に提供された。
④ 平成25年度に地域の家庭に普及することを目的に中学2年生と一緒に「えだまメンチ」を作る出前授業を行った。
⑤ 平成23年度からイベント等で販売をして地域に普及する活動を行う。24年度からは、知名度アップのため県内外のイベントで販売している。
⑥ 平成23年度から地域の方に常時食べてもらえるようにレシピを持って、とんかつ店を中心に取扱店を増やす活動を行っている。
⑦ 平成24年技豆剥き機を製造している企業から機械をリースして性能試験を行った。25年には、本校の他に沼田市、生産農家、野菜加工業者、えだまメンチ製造業者と試運転を行い、今後の生産態勢について見通しを立てることができた。
⑧ 平成24年度から各種コンテストで入賞している。
 平成24年11月 県食育推進活動優良賞 受賞
 平成24年12月 県グルメグランプリ 高校生の部グランプリ受賞
 平成25年12月 群馬イノベーションアワード2013
         ビジネスグランプリ 高校生部門 入賞(1位)

2.「えだまメンチ」について現在までの成果
(1)学校給食提供や家庭への普及活動の成果(食育)
 「えだまメンチ」を開発・普及する過程で「枝豆が利根沼田の特産品であること」「枝豆の栄養価が高いこと」を知らせることができた。また、給食に提供したことで「今まで枝豆は嫌いだったけど、食べられるようになった」という小学生も出て、偏食の改善にも役立ち、食育にも役立っている。また、中学校への出前授業や総菜店での販売により沼田の新名物として家庭に普及してきている。

(2)イベント販売や飲食店での販売依頼活動の成果(地域活性化)
 イベント販売については、地域のお祭りや「ゆるキャラサミット」など県内外で延べ38回以上に出店しており、行列が絶えることがなく、1万5千個以上を販売している。
 取扱店については、当初本校から依頼していたが知名度が上がるにつれて、「販売したい」という問い合わせが来るようになってきた。5年後までに20店舗と想定していたが、予想を遥かに上回り、既に取扱店舗数は13店舗を超え、全国展開をしているカラオケチェーン店でも期間限定で販売した。現在4店舗からオファーがあり、5年後に30店舗に上方修正を行った。
 国道120号沿いのとんかつ店が「上州沼田とんかつ街道」を立ち上げ、その目玉商品として「えだまメンチ」を取り入れるなど地域の活性化に貢献している。

(3)剥き枝豆の生産体制づくりの成果(地産地消・6次産業化)
 生産農家と野菜加工業者の橋渡しをすることができ、26年度から2トン程度の生産を行うことになった。本校を中心に市役所、枝豆生産者、地元加工企業、地元販売業者が集まり、「剥き枝豆」を作ろうという動きもあり、産・官・学が連携して、地域活性化に貢献する役割を果たした。

(4)経済波及効果
 これまでにイベント、飲食店等でおよそ3千万円の売り上げがあり、これを総務省のHPにある計算シートに入力したところ6千万円以上の経済波及効果をもたらしていることがわかった。26年度に、枝豆の剥き身が本格稼働すれば、1億円以上の経済波及効果が期待できる。

(5)メディアによる取材等
 新聞各紙、NHKBS「めざせ!グルメスター」をはじめとするテレビ番組、「オレンジページ」や「JAF-mate」をはじめとする雑誌など、各種メディアで数多く取り上げられ、沼田の新名物として定着しつつある。現在公式HP(http://edama-menchi.com/)で情報配信を行っている。

(6)まとめ
 「えだまメンチ」の開発・普及の活動を通して、「小中学生への食育」や「地域の活性化」、「地産地消・6次産業化」の推進に貢献し、「食を通した街おこし」を推進することができた。

3.今後の活動
 私たちが目指す食を通して地域を元気にしたいという活動は、B1グランプリを主催している愛Bリーグの目的と合致している。また、愛Bリーグヘの参加基準に「その街に行けば複数の店で提供していること」「一般家庭で食べることができるものであること」という規定があり、私たちの活動はこれにも合致している。
 そこで、私たち食品文化部は「高校生初の愛Bリーグヘの加盟」「沼田の新名物えだまメンチでB1グランプリ出場」を目指して活動を続けていきたい。