「あしたのまち・くらしづくり2012」掲載
あしたのまち・くらしづくり活動賞 振興奨励賞

地域課題解決活動と震災復興
徳島県徳島市 徳島活性化委員会
 徳島活性化委員会は、2009年度に徳島県出身の学生を主なメンバーとして作られました。はじめは地域課題にたいして東京や徳島の学生とその地域課題に取り組むNPOや団体の方と一緒にチームを作って、徳島県知事に提案するだけのコンテストでしたが、2010年度には留学生をもチームに加え、グローバルなビジョンを持ちながら、地域の課題を解決するようなプランを考え、実行にうつし、実績をあげてきました。伝統料理のたらいうどんに一本だけピンクのうどん(運命の赤い糸をイメージ)を入れ、恋愛の仏様である愛染明王が祀られている近くのお寺に参拝するデートコースを設定したプランは実際に地元の人たちと一緒に実行され、今では若者が増える観光地になりました。(2010年度優勝プラン)地域課題を地元で活動している人だけでなく、地元出身者や地域活性化、農業振興などに興味のある学生などと一緒に考え、解決策をだしていくモデルは他の地域にも応用され、大分県では医療学生が地域に入って課題を考えるという企画になっていたり、富山市では商店街で実行できるプランを商店主と学生が考え、実行するコンテストになっています。徳島活性化コンテストに関して言えば、実際にI/Uターン者が出て来たり、東京に住んでいる学生と一緒に企画を東京で行なったり、徳島産のものを東京の学生がインターネットで売るような企画が出て来たり、徳島を第二の故郷と思って年に数回来るようになったり(交流人口の増加)、とコンテストを単に開催するというだけではない付加価値も出てきていると言えます。
 このような形で若者を地域活動に取り込んでいき、将来的には地域に貢献する若者を育てたい、と同時並行的に徳島市が中心市街地に設置したまちなかキャンパスで若者向けの講座を行なっています。これは若い人材を育てるためにダイヤモンド社の講座を徳島の学生でもインターネット中継して聞けるようにしたり、学生記者として様々なところに取材に行ったり、地元の経営者やファイナンシャルプランナーの方にマネー講座を行なってもらったり、と地方の学生でもスキルを身につけられるような講座を開催しています。また、それだけでなく、学生の専門知識を活かして、書道文化学科の学生にはまちなか書道教室を行なってもらって地域の人に参加してもらったり、若手アーティストにはアート講座を行なってもらったり、と若者が地域の人と関わるような講座も開催しています。
 また、東日本大震災では、若者にも震災や防災、減災を身近に感じてもらおうと、東日本ではよく行なわれているサンマ祭りをフックに徳島市長、佐那河内村長と女川町の方々と若者とで震災について考える会を開催しました。東京でも有名な目黒のサンマ祭りでは徳島県のスダチが使われていますが、西日本の方ではサンマ祭りはありません。せっかく地元の産品が有名なものであるのにも関わらず、地元ではあまりスダチに関連するお祭りがありませんでした。そこで私たちは西日本最大のサンマ祭りを目指して、女川・徳島サンマ祭りを立ち上げました。徳島では見たこともなかったような美味しい、太いサンマは飛ぶように売れ、いつもは静かな中心市街地がたくさんの人であふれました。私たちのような若者がメインのまちづくり団体は震災復興をするだけでなく、今回のイベントには三つの目的がありました。①まちに人が来るイベントを行なうこと、そして、②震災や防災・減災について人が、特に若者が考えるきっかけを与えること、そして、③徳島県、佐那河内村のスダチをPRすることを軸に置きながら、開催しました。パネルディスカッションではたくさんの人が考え方が変わった、とか、とりあえず逃げろというのが心に残った、とたくさんの反響をいただきました。もちろん、それだけでなく、震災復興に興味を持っていた徳島県も徳島市も佐那河内村も様々な人たちが協力してくれ、他にもゼミ単位や大学単位でボランティアで手伝ってくれた学生たちもたくさんいたことは、今後の徳島のまちづくり活動に多大な意味があったと思います。2度開催したサンマ祭りでは、500匹ずつ用意していたサンマが完売し、売上の35万円を女川町コンテナ村商店街に全額寄付することができました。このお金で実際に女川町のコンテナ村商店街には屋根と壁がつき、寒い冬を乗り越えることができるようになった、という話を後日聞いて、胸が熱くなりました。街のためにもなり、遠くにある街にも貢献できるようなイベントを若者が主体となって行なったことは非常に意味があると思いますし、今後も継続することを視野において活動しなければならないと心に決めました。今年度は、サンマ祭りはまちなかでサンマを販売するだけでなく、街のレストランにも協力をお願いし、街のレストランでもサンマが提供されるようになる予定です。それだけでなく、県内在住の落語家さんが目黒のサンマならぬ徳島のサンマを上演してくれることにもなっており、震災復興という名目で街の力が結集していくような気がしています。そして、これを機にもっと女川との交流を継続していき、最終的には民間レベルでの震災友好都市の締結も視野に入れ、まちづくり活動を継続できれば、と考えています。
 最後に今、力を入れているのはとくしまドネーション事業(通称とくドネ事業)です。とくしまドネーション事業では、若い感性で新しい商品を開発し、商品の売上の一部を関連するNPO団体などに寄付をするという仕組みになっています。例えば、若者向けにかわいいおみやげを作ろうと開始したとくしまストラップは、普通にお土産として販売するだけでなく、購入者には徳島の面白い人のインタビューも携帯サイトで読める特典がついています。このとくしまストラップの売上の一部は観光ボランティアガイドさんに寄付し、徳島の観光の魅力向上の一助になっています。他には地元のカフェと協力し、合格フレンチトーストの商品開発も行ないました。これは地元の高校生などに受験合格祈願のために食べていただき、売上の一部を児童養護施設のノートの購入代金に当ててもらおうということで行ないました。このような寄付事業は、地元の団体が活性化していくだけでなく、地域の域内でお金がまわるようになる仕組みであり、地方のまちづくりとしては王道となるようにこれも他地域へどんどん輸出していきたいと思っています。
 今後のまちづくりは若者の手にかかっており、地方・地域には山積する課題があります。そんな課題の解決策をみんなで一緒に作っていって、最後には徳島が日本のそして世界のモデルとなれるように活性化委員会は活動を継続しようと思っています。