「あしたのまち・くらしづくり2012」掲載
あしたのまち・くらしづくり活動賞 振興奨励賞

みんなの居場所づくり
栃木県下野市 いどばたカフェ・好縁
 栃木県下野市は、人口約6万人の関東平野にある地域です。平成17年に3町合併により下野市となりました。その中で旧南河内地区、自治医科大学が近くにある新興住宅地で、全国各地から移り住んできた人が多く、東京まで通勤している人の多い地域です。私たちいどばたカフェは、その住宅地域内にあるコミュニティセンターの中で毎週月曜日の午前中にオープンしています。メンバーの多くは下野市生活学校のメンバーです。
 カフェを開くことになった、動機、経過、目的について記載します。

動機
 民生委員を6年間経験した中で、一人暮らしの方に接したり、特別養護老人ホームのボランティア活動を通して、誰でも、お茶を飲みに来たり、おしゃべりしたり出来る場所が定期的にあったらいいなと私一人の漠然とした気持ちがありました。

経過
 平成20年7月のある日の生活学校の定例会で、私の想いを話しました。
①みんなの居場所を作りたい
②生活学校以外の人にも関心を持ってもらい、会員を募りたいので、生活学校とは別組織で立ち上げたい
③生活学校のメンバーには、主旨に賛同する人に参加してほしい
 等と提案しました。結果、生活学校のほとんどのメンバーが加わり、生活学校以外のメンバーも加わり、最初の提案から2か月足らずで、13名でスタートすることになりました。

目的
 みんなの居場所(子育て中の人から高齢者まで、老若男女問わず)とする。

会の運営で大切に思っていること
①多世代の居場所
②会員も多世代(現在40代から80代)
③お世話する人、される人の関係ではない
④お客さんもメンバーも楽しいから来ている
⑤運営は、会員の会費と売上でまかなう
 間もなく丸4年が経とうとしていますが、現在会員は、17名、お客さんは0人から数十人。スタッフは毎回3人から7~8人。毎回の当番を決める苦労はなく、出来る人が積極的に参加しています。これも素晴らしいことの一つだと思います。毎回各種お茶とお菓子でもてなしています。
 イベントも時々企画して楽しんでもらい、カフェの存在をPRしています。PRの方法としては、市の広報にも投稿しましたが、あまり成果はありませんでした。やはり口コミが一番だと思います。ある時、知り合いの一人暮らしの方に、「カフェにいらっしゃいませんか?」と声をかけた時、「することがいっぱいあって、お茶を飲んだり、おしゃべりに時間を使うのは、もったいない」と丁寧に断られました。素晴らしい生き方をしていると思いました。生き生きと自分らしく生活している高齢者も大勢いらっしゃいます。
 カフェのような存在は、必要な人が、必要な時に来られるように、私たちは継続していることが大事だと思います。そして、そこで新しい好ましい縁が出来ていく。それを目指したいと思います。
 カフェのある、この地域は平成元年頃に出来た新興住宅地です。当初小学生が次々増え、小学校は、2校になり、それでも足りなくプレハブの校舎を増築した時期もありました。今は、段々生徒数が減ってきています。まだ、平均年齢が他の地域よりは低いですが、10年後20年後には、一人暮らし世帯と高齢者世帯が多い地域になるでしょう。今からお互い助け合える関係を築いていることが大切と思います。現在カフェの会員は40代から80代ですが、確実に20年後には皆高齢者です。
 私たちがしているような活動は、いつでも誰でも、その気になったら出来ることだと思います。難しいことではありません。コミセンを利用することのメリットは、低料金で場所が借りられる他、他のサークル等でコミセンを利用している人が、帰りに寄ってくれることです。さらに、平成22年8月からは、生活学校といどばたカフェの共催でカフェの一角でフリーマーケット「もったいない市」を毎月第1月曜日に開催しています。会員が自宅で不要になったものを持ち寄り、低料金で売り買いを楽しんでいます。会員以外の人も、自由に売ることも買うことも参加できます。その他お茶会、コンサート、手芸など様々なイベントを企画しています。9月24日には、県内外で活躍中の男声コーラスの皆さんが来てくれます。10月1日には、ギター教室の皆さんが来てくれます。皆さん主旨に賛同しボランティアで来てくださいます。幸せなことです。お客さんも、ボランティアで来てくださった人も、会員もみんな幸せな気持ちになれる居場所を目指して、ささやかな活動を続けていこうと思います。