「あしたのまち・くらしづくり2012」掲載
あしたのまち・くらしづくり活動賞 振興奨励賞

地域・学校・公民館の交流で子どもたちを守り育てるまちをつくる
栃木県日光市 緑が丘ふれあい交流会実行委員会
1.日光市落合地区はこんなところ
 平成18年(2006年)3月20日、今市市、日光市、藤原町、足尾町、栗山村の5市町村が合併し、新「日光市」が誕生しました。
 日光市は、栃木県の北西部に位置し、群馬県、福島県に接しています。市の総面積は約1450平方キロメートルで、栃木県の約4分の1を占めており、全国でも3番目の広さとなっています。森林面積は約87%を占め、人口約9万人の自然豊かな国際観光文化都市です。
 落合地区につきましては、合併前の今市市を構成する5地区のうちの一つであり、面積は52.36平方キロメートルで日光市の一番南に位置しています。人口は約9千人、3300世帯で10の自治会に分かれています。公共交通としてJR線と東武鉄道が通っておりますが、多くは農村地帯であり、やはり自然豊かな地域となっています。

2.地域団体(住民)と落合公民館の関係
 落合公民館は、落合支所・落合地区社会福祉協議会と同じ事務所の中にあり、地域住民の代表となる様々な地域活動の中心となる各種団体の事務局を担当しています。
 このため、各団体・住民・公民館職員の間では日常的に交流が行なわれることとなり、自然と信頼関係が培われ、お互いの協力意識が深まっています。

3.落合中学校と落合公民館の関係
 落合中学校は、落合地区唯一の中学校であり、ちょうど落合地区の中心付近に建設されています。落合公民館は、この落合中学校に隣接しており、距離的にも近い存在のため、学校開放施設利用申請などの関係書類は、直接、公民館職員が届けています。
 このため、学校と公民館職の間では日常的に交流が行なわれることとなり、お互いの課題についての意見交換など幅広い話をする中でお互いの信頼関係は深まり、「学校教育」と「社会教育」との連携による効果を考えるようになりました。
地域団体(住民) ⇔ 落合公民館 ⇔ 落合中学校
◎落合公民館が仲介役として活動することで地域と中学校をつなぐ事業が可能となります。

【地域の名物となった石窯】
 2010年12月の落合地区地域学習圈会議の場で「ピザとハーブのまち」づくりという意見が出ました。これの実現のために学校の知識と地域の人力を公民館がコーディネイトし、翌年1月に公民館敷地において石窯第1号機を完成させました。
 学校の調理実習・総合学習の時間に石窯を使ったピザづくり教室を実施し、指導には地域の方があたる体制としています。この後、地域でも利用希望がどんどん増えたため、同年8月には学校敷地内に石窯第2号機・第3号機を地域のボランティアにより増設しました。

4.緑が丘ふれあい交流会とは
 石窯のほかにも、陶芸教室やハーブ作りなど学校と地域の指導者による連携体制が定着してきた中で、さらに地域・学校・公民館の協力関係を高め交流を促進することを目的に、全体が参加する「地域参加学園文化交流祭」の実施に向けて動き始めました。
 開催にいたるまでは、地域各種団体・学校・公民館による実行委員会を組織し、打合せを重ね、それぞれの得意分野を生かした事業を実施できるよう役割分担を行ない、2011年11月25日(金)に落合中学校を会場として盛大に開催しました。開催初年度のため経費は、自治会と学校で持ち寄りました。「緑が丘ふれあい交流会」とは、落合中学校のシンボルである学校林にちなんで名付けたものです。
 催し物は次のとおりです。
お茶会 生徒・公民館サークル
ハーブ喫茶 生徒・公民館サークル
文化作品展 生徒・公民館サークル
石窯ピザ 生徒・石窯部会
子ども育成会・婦人会
けんちん汁 生徒・自治会・自治公民館
焼いも 生徒・体育協会
グラウンドゴルフ 生徒・社会福祉協議会
長寿会・民生児童委員協議会
合唱 生徒
消防演習 生徒・消防団
野外コンサート 生徒・地域住民
緑が丘案内 生徒・学校支援ボランティア
受付・駐車場係 生徒・PTA
*当日は晴天にも恵まれ、約700名の参加となりました。

5.交流会がもたらした効果
 当初のねらいとしては、①地域・学校・公民館が連携・協力して子どもを育てるまちをつくる、②幅広い世代の参加交流により人間力を養う、③子どもたちや参加者に「ふるさと」を実感させる思い出をつくることなどを期待していました。
 この開催により、当初のねらいに加えて、地域の人たちや学校の先生・生徒たちに思わぬ変化があったように思われます。
・学校支援ボランティアに興味を持ち、協力する人が増えた。
・生徒と地域住民の交流が深まり、生徒をほめる声が増えた。
・生徒から活動の達成感が感じられ、笑顔が増えた。
・地域と生徒が顔見知りとなり、生徒を見守る防犯の意識が高まった。
・食に対する興味が深まり、地産地消の意識が高まった。
・新聞に活動記事が掲載されたことにより、落合の活動を広く周知できたことを喜ぶ地域住民の声や外部からの問い合わせが寄せられた。
・学校と地域団体の交流が深まり、関係会議・事業における活動がスムーズになった。
*緑が丘ふれあい交流会は、2012年も11月に落合地区内二つの小学校から6年生を招き、さらにスケールアップして実施する予定です。