「あしたのまち・くらしづくり2012」掲載
あしたのまち・くらしづくり活動賞 振興奨励賞

一次救命(BLS)の普及活動と広域自主パトロールとのコラボ
北海道函館市 NPO法人救命のリレー普及会
 全国的に一次救命講習会は消防署が中心となって行なわれていますが、障害者に対する講習会は皆無に等しい位開催されていません。
 何故、行なわれていなのでしょうか? 費用対効果の問題が一番犬きな理由と考えられます。
 健常者と違って、持っている障害によっては、
①傷病者の発見が困難である。
②指導する時に、補助者が必要の場合があるため、その分の費用が必要。
③健常者と違って器材の台数が、受講者と同数必要となり、費用が必要。
 これらが原因で、開催されていないと推察しています。
 函館には視覚障害者の方が、一千数十人います。設立年に、この方たちに救命講習会を行ない、日々の生活に役立たせて頂きたく、補助員の養成を行ない、点字テキストを制作し、(社)函館視覚障害者福祉協議会の会員を対象に、講習会を実施しました。
 視覚の不白由な方は、触覚や振動等に非常に敏感で傷病者の動作を感じ取ることが出来ます。健常者と違って不特定多数の方たちの発見は無理ですが、自身の周りにいる方の変化には対応が可能です。
 傷病者の意識を確認し、協力者を求め呼吸の確認は相手の腹部等に軽く触れることで理解できます。胸部の圧迫位置までを補助員がサポートし、場所の確認と、確認の仕方の指導と圧迫時の力の強さとその感覚を体感し覚えて頂くように反復練習を行ないます。
 AEDの操作に関しても、健常者と同じように行ないますが、操作部分には日本では最初の点字シールを貼付して操作の仕方を修得してもらいます。
 しかしながら、国内にあるAEDには点字シールシを貼付している機器はありませんので、実際に必要な場合は、健常者の方にその操作を任せるか、使用の方法を指導してあげることを教えています。
 その講習を受講した73歳のマッサージ店を経営されている全盲の女性が、自身の店に点字シールを貼付したAEDを置いています。その女性は治療に伺った所の方が、体調が優れず治療が出来なかったのですが、そこの家族に頼まれて留守番をしていた時に、その方の体調が急変し救急車を呼んだのですが手遅れになったという経験が、救命手当講習会の参加のきっかけになったと話されていました。相手の状態が理解できたが、何の手当ても出来なかった後侮があり、講習会を望んでいたけど何処にも開催していなくて待ち遠しかったと言われました。講習会で救命手当ての知識と技能を修得し、さらにAEDの操作も覚え、店に置き、治療に来た患者さんが万が一の時に備えていますが、全盲の方が所有していることは、恐らく国内では初めてでないかとメーカーの話です。
 点字シールが視覚障害者の方たちの操作が可能になったことで、実用新案特許が取得出来ました。
 また、道立の定時制高校の生徒に対し講習会の開催や教師・保護者等の救命講習会を2年連続して行なっています。
 地域住民に対して、高齢者から小学生たちが集まりやすい町会館を中心に、救命手当講習会や応急手当講習会を行なっています。
 函館市では毎年9月にハーフマラソン大会を行なっており、その大会の救護班として協力を行なっています。
 当法人だけの活動・行動も限られてくるので、昨年より町会単位で、講習会開催に必要な器材の貸与と講習会での指導を担当する人材養成を行なっています。1年間の期間の中で、講習会の指導法等を修得願い、住民に対して救命手当の普及活動とAEDの設置を行ないます。1町会の平均的な住民数は3000名前後ですので、町会が主体的に講習会を行なうようになっ場合の影響力は非常に大きいものと考えています。通常は、消防署の担当者に依頼して講習会を行なうのが一般的ですが、町会に器材を常設して町会の専門員が行なうことは函館では初めてのことです。
 AEDの設置は公共的な施設を中心として進められていますが、町会というその地域の中心的な位置づけにも係わらず、本体が高額のために設置されている町会は数箇所です。町会会員の理解が必要なために、自主的な講習会を行ないながらその必要性を認可されることでAEDの常設が可能になります。
 今回、当法人が自主防犯パトロール認可団体になりました。このことに関しては、珍しいことではないのですが、函館で初めての広域実施団体ということで地元の新聞2社に取り上げられました。実施範囲は、函館市・北斗市・七飯町の2市1町で対象人口は35万6447名になります。
 現在、個人車両4台を実施車登録してパトロールを開始していますが、広域認定になった一番の理由は、実施者全員が救命手当の有資格者であることと推察しています。
 院外傷病者の心停止の場合は、その8割前後の方がAEDを必要と言われていますが、身近にないのが現状です。
 そのような場合に、救急員や医師等に引き継ぐまでの救命手当てが出来ることが評価されて認可されたと考えています。
 1台にAEDと救急セットを配備しており、防犯パトロールと救護を兼ねて実施しています。
 順次、他の車両にも配備を検計していますが、日常時や大規模な自然災害等に救護の要になれるように、実施車両を増車しながら、地域づくり・町づくりに貢献しながら活動していきたいと思います。