「あしたのまち・くらしづくり2009」掲載 |
あしたのまち・くらしづくり活動賞 振興奨励賞 |
子どもたちが輝ける町づくり |
兵庫県稲美町 稲美地活会 子育て支援あすなろ会 |
はじめに 私たちが住んでいる稲美町は兵庫県の東南に位置しており、万葉集など古典に読まれている「印南野」の中心部にあり、東西5キロ・南北7キロ・面積35・18平方キロで、人口約3万2300人で、東部は神戸市・西部は加古川市・南部は明石市・北部は三木市に隣接しており、山がなく鉄道と国道の通っていない、溜め池の多い田園の町です。 高齢者が変容する時代に対応し、心身の健康保持に努め知識と教養を身につけ、充実した生活を創造し、地域社会の発展に寄与することの出来る指導者となることを目的としている「兵庫県生きがい創造協会・いなみ野学園地域活動指導者養成講座」で学んだ稲美町在住者で、会の主旨に賛同した同窓仲間で「稲美地活会」を結成いたしております。 稲美地活会活動としても、あらゆる事業・地域活動にも参加できる体制づくりが求められ、「高齢者の自主学習及び地域活動グループ育成に関する事業」に参加し、交流・研修を重ねた。 また会員相互の親睦を深め合い、連帯意識・活動の支え合いなどのより楽しみながら地域活動に参加しやすい事業として、パソコン教室の開催・グラウンドゴルフ大会・日帰り研修見学等を実施したところ大勢の参加者があり、仲間意識が深まり会員同士の絆がさらに強まり、活動に意欲的な会員が多くなり、一層充実した活動が出来るようになり、町内においても稲美地活会が人材豊富な活動組織として認められ期待されてきた。 平成15年に稲美地活会子育て支援活動グループ「あすなろ会」として社協ボランティア連絡会に登録し、県の地域団体活動パワーアップ事業に申請して「あすなろ会」の活動が第一歩を踏み出した。 「あすなろ会」の活動目的 1.次世代を担う子どもたち、特に幼児教育の大切さを経験豊富な高齢者が子育て支援活動のお手伝いに寄与すると共に、会員相互の親睦と連帯を図ること。 2.0歳から3歳程度(保育園まで)の子どもたちに、絵本の読み聞かせを中心にいろいろな遊びの中で子どもたちの成長を手助けすること。 3.若いお母さん方の「子育てについての悩み」の相談を受け、アドバイスすること。 目的達成に向けて取り組んでいる事業 (1)毎月第2・第4金曜日に社協福祉会館ホールで定例活動の実施。 ※まず出席を取り、名札の着用で親しく話しかけ顔を覚える。①あいさつ②大きな声でお返事③リズム体操④絵本の読み聞かせ⑤創作ゲーム⑥お母さんと絵本読み⑦みんなで片付け⑧アーチでさよなら、と毎回活動に基準を定めている。 ※⑤の創作ゲームは、エプロンシアター・パソコンによる影絵遊び・創作絵本など、当番に当たったスタッフが知恵と時間をかけて考えた、楽しく内容のある遊びが取り組まれております。 ※また季節に合わせた活動として、ひなまつり・こいのぼり作り・こいのぼりのお腹くぐり・七夕まつり・ミニ運動会・クリスマス会など実施しており、子どもたちの喜ぶ姿を見て共に楽しむ反面、伝統文化の衰退・核家族化の現状を考えさせられます。 (2)春と秋にはプレイパーク(野外遊び)を中央公園キャンプ場でお母さんと一緒で野外遊びに汗を流して楽しんでおります。 ダンボールで作ったトンネルくぐり・でっかいシャボン玉づくり・汽車ポッポ遊び・ボール遊び・ハンモックなどに乗ったりして、自然の中で力いっぱい遊んだ後、お昼には焼き芋やカレーライスでお腹いっぱい! いつも時間が足りません。 (3)夏と冬には文化の森調理室にて「食育」に取り組んでおります。 「食育」は生きる上での基本であって、知育・道徳・体育の基礎であるといわれており、地場産物でお母さん・子どもたちと一緒で楽しく調理実習、手も動くが口も大いに動きます。 スタッフによる託児で子どもの心配もなく、新しい料理と身体に良い料理を覚えた後で、皆で食事会。おいしいね! また作ってね! 楽しい一日です。 (4)町内5か所の幼稚園に出向いて行き、絵本の読み聞かせを実施。 それぞれ幼稚園のスケジュールに合わせ、絵本の読み聞かせ・紙芝居・昔ばなし・昔の遊びなど、短い時間ですが先生と違った、おじいさん・おばあさんとの話し合える一刻を園児たちは、喜び楽しんでくれて「ありがとう! また来てね!」と握手と喜びの笑顔で別れる。 幼稚園訪問の回数を重ねるとごとに園児たちは大きく成長していることに驚かされると共に、スタッフ一同は園児たちからパワーをもらい幼稚園訪問に生きがいを感じております。 (5)行政主催の4か月児健診時の託児とブックスタートの実施。 4か月児、この時期の子どもの脳は成長めざましく、初めて聞く母の声・母が優しく呼びかける言葉を聞き信頼を深めていきます。 健診をすませた若いお母さんたちに、乳のみ児の時からの絵本の読み聞かせの大切さを意識していただくために、お話の機会を持って呼びかけして絵本の勧奨活動を続けております。 (6)スタッフ全員とお母さんが共に勉強する講演会活動の実施。 子育て支援活動に関連した全般的なお話・絵本選びと読み聞かせ方・うたと体操など、幼児期に必要なスキンシップのお話など、知識豊富な専門講師先生を招いての講演会は予算面では大変ですが、子育てから遠去かっているスタッフ・育児に不安な思いでおられるお母さんたちには大変好評をいただいております。 (7)子育て支援活動・読み聞かせ活動の勉強会並びに交流会の実施。 県の子どもの館・社協子育て支援センターなどにお世話になり、色々な物づくり・楽しい遊び方など、教えていただいております。紙飛行機・和だこ作り・絵本つくりなどに加え、人形劇・パネルシアター・エプロンシアター・影絵あそびなど、初めの頃は不器用で不安であったが、慣れるに従い皆な自信を持って子どもたちと楽しんでいる。 遊びの中で子どもたちが反応して目を輝かせる。興味を持つ遊びのあることに気付けば、次に向けての課題として勉強にも励んでいる。 (8)町外で活動しているグループとの交流会も大いに視野を広げます。 障害者・高齢者・子育て支援をも含めた三世代がいつでも集える、充実した地域活動をしておられるところに訪問し勉強させていただきました。 まとめとして 地域の皆様方で高齢者ケアと子育てサロン支援活動を家族的な雰囲気で包まれた中で地域の公民館活動として取り組んでおられる皆様方と共に一刻を楽しく交流できたこと、大いに学ぶところが多くあり、今後も交流会活動を通じ視野を広げたいと思っている。 私たちの子育て支援グループ「あすなろ会」が活動を始めて6年が経過します。歳月の経つのは永いようでも過ぎて見ると早いものです。おじいさん・おばあさんの膝の上で絵本に見入っていた幼子が、今では小学生となり「あすなろのおじいちゃんや!」と覚えていて声をかけられると微笑ましく自分の加齢も忘れ意欲が出ます。 神戸新聞に60歳以上のボランティアでつくる子育て支援グループ「あすなろ会」が幼児とその親たちを集め絵本の読み聞かせることの大切さを伝授し紙芝居やいろいろな遊びで参加者を楽しませ幼児たちの祖父母役をしている! と新聞に取り上げられたことも大きくスタッフ一同の励みになり、PRにもなりました。 平成20年に子育て応援、元気アップ賞を受賞いたしました。子育て支援活動に積極的に参加し、活動を共に考えスタッフ一同が、創意工夫し頑張った結果「あすなろ会」活動が認められたことを皆で喜び合い活動の励みになっております。 絵本の読み聞かせは読み手の情感をこめた肉声・寄り添う身体の感触・想像力を刺激する絵本選び、それらが一体となって幼児たちの心の中に忘れえぬものとして染みわたっていく。絵本の世界ではページをめくるごとに喜びや悲しみ、知恵や思いやりに彩られた物語が展開します。それを聞く幼児たちは精神力や道徳心・倫理観といった心を育むことができます。絵本の読み聞かせは魔法のランプ! 絵本や紙芝居に見入る幼児たちの目は期待と興奮できらきらと輝いております。 私たち高齢者が次の世代の幸せを願い、子どもたちが輝ける町づくりのため素人の子育て支援活動として、まだまだ出来る! 期待されている! と自分自身を励まし老後を健康に留意しながら「あすなろ会」活動として、子育て支援本来の喜びと楽しさを味わいながら、5年、10年と続けられることを願っております。 |