「あしたのまち・くらしづくり2009」掲載
あしたのまち・くらしづくり活動賞 振興奨励賞

子どもの笑顔で街が変わる―合言葉は「親も子も主人公」―
愛知県名古屋市北区 NPO法人子育て支援のNPOまめっこ
 1993年より、まめっこの前身であるワーカーズ「てべんとうず」が「まめっこ親子教室」を主宰してきました。2000年にはNPO法人「子育て支援のNPOまめっこ」を立ち上げました。
 合言葉は「親も子も主人公」。親も子も主人公となり、他の人との違いを認め、自分の子育てに自信が持てるような場を作って、今年で16年間になります。
 2008年には、地域に子育て支援の環境が整ってきたので利用者も減り、名古屋市内5会場・稲沢会場1会場すべて閉鎖しました。


遊モアを開設した「きっかけ」

 私自身は専業主婦で転勤族でしたので、子どもと2人ぼっちの時、社会からの孤立感や閉塞感を感じていました。そんな経験こそが、現在の私の活動の原点です。社会の一員であることを実感したいと「まめっこ親子教室」に関わりました。
 この教室を利用していたママから「毎日まめっこがあったらいいな、親子の関係が煮詰まったら駆け込める場がほしい」という声を受け、2003年に名古屋市北区の柳原商店街に「0123歳とおとなの広場 遊モア(ユウモア)」を経済産業省商店街空き店舗活用事業補助金で開設しました。この補助金は3年間だけでした。その後は「名古屋つどいの広場」の助成金と会員からの利用料で綱渡りの運営で継続しています。


商店街に開設した理由

 子育て不安を感じたり、閉塞感を感じたりしてしまうのは「性別役割分業社会」であることも要因の一つならば、それを払しょくできるきっかけとして北区柳原通商店街に場所を持ちました。
 商店街の理事長は「子どもはほっとけば育つ、なのに開設して人は来るのかね!」
私「今の時代子どもはほっておいては育ちません。孤立感や閉塞感を感じてるママたちがたくさんいます。ですから人は来ます」
理事長「家賃が払えるのかね」
私「補助金があるうちは払えますが? その後はわかりません」
理事長「お金を払ってまで来る人がいるのかね」
私「子どもを持った人やお子さんが安心や信頼を感じたたら利用者はいます」
理事長「儲かるかね」
私「儲かりません」
理事長「商店街がどんどんシャッター通りになっていくので開いていればどんな店でもいいよ、今まで子育て支援をやってきた〝まめっこさん〟だからやってごらん」と言っていただけました。
 「遊モア」とは子どもにはもっと遊ぼう!! 大人の方たちには子育て中はゆとりを持ってユウモアを忘れずに! という思いを込めて命名しました。


地域の反応

 子育て広場「遊モア」は親子がホッと一息つける場・出会い・つながり・遊び・学ぶ場です。月曜日~土曜日は10時から2時30時まで、広場は予約なく来ることができます。年間登録2000円利用料親子1組で500円1人増えると200円。会員対象に一時保育も行なっています。緊急に預かってほしい時やリフレッシュなど理由は問いません。毎月遊モアカレンダーちらしは会員の方だけでなく、まめっこHP・保健所・児童館・生涯学習センター・子育てサロン・子育て支援センターに置いてあります。開設当初商店街の理事や役員の方たちは(全員男性)「託児所じゃないの? 親子で何するの?」とか「親子で1日中遊んで優雅だね!」とか「今のママは我慢が足りないね」とか冷たく言われました。私は「今子どもの虐待が問題となっているのは母子密室の子育てなのです」「本当に子育てが楽しかったら少子化ということは問題にならないでしょう」と話しますと理解をしてくれます。


「F・Fの会」

 一番理解を示してくれたのはおかみさんたちでした。おかみさんたちはF・Fの会を立ち上げました。ファミリー的なフレンドリーな活動をしたいということで名付けられました。第1回の会合は遊モアでしました。「私の子育て時代にもこんな場所が欲しかった」という意見も出ました。だからこそ応援したいと、ちまきづくり・おもちつき・そうめん流しの講師をしてくれます。遊モアからは商店街のお祭りやイベントに協力したり参加したりと、相互に交流しています。商店街にはプロに方がたくさんいます。和菓子屋さんが講師となって鬼まんじゅうづくりなど、床屋さんはベビーヘヤーカット講座、(日経MJに紹介された)一番人気は食堂です。お昼を調達、みんなで学食のように楽しく頂きます。またお相撲さんとの交流会、信用金庫のウインドーに遊モアの子どもたちの絵が飾られたり、商店街だからできる顔の見える関係を作っています。そこから安心や信頼を日頃から築いてきました。商店街で買い物をする人も出てきました。


「モアキッズ」

 遊モア利用者の声で「うちの子はひとりでお弁当のふたが開けられるかしら?」というママの不安の声に応えて2歳児を中心とした「モアキッズ」という預り保育を行なっています。愛知労金から補助金を受けて立ち上げました。子どもの集団の中で子ども同士の関わりや食事のマナーを体験するもので10時から13時までの集団保育です。モアキッズ終了後スタッフはママの相談にも応じます。ママから離れない子・ママが預けることに抵抗を持っている方に進めています。子どもは子どもの集団で育つということを体験しています。


「くれよんの会」

 遊モアを開設当初利用者であったシングルママからのひと言。「この子が大きくなって、子どもから『どうしてパパがいないの?』と聞かれたときどう答えようか悩んでいます」と相談されたことをきっかけに(ひとり親たちが集うボランティアグループ)「くれよんの会」が発足し月1回の定例会をしています。会員は乳幼児を持つ親ばかりでなく高校生までのお子さんがいる親10組です。北区や区社会福祉協議会から助成金をいただいて商店街にあるラーメン屋さんでラーメン作り体験学習会をやったり、子育て相談があったり、そうめん流しをしたり子育てを楽しんでいます。


ママたちの力を生かして地域に変化を

 おかみさんから商店街の宣伝にマップが欲しい! ママたちからもマップがあったらいいなという声を生かして作ったのが「子育て中のママが作った人にやさしい街マップ」です。成果は三つ。一つはママたちが商店街の道を歩いて危ないところを地図に落して気をつけるようと促した地図が新聞で紹介されたところ北区土木事務所は1か月後工事が入って歩きやすい道になった。それはお年寄りや障害者も歩きやすくなった。二つ目商店街の宣伝になった。三つ目は商店街の中にある金融機関が子育て中の親が利用しやすいように子どもの遊び場やおむつ交換の場を作って地図に載せました。そのことは企業の宣伝になるということで子育て支援に関心を持って職場の環境を変えたことです。
 このマップは2007年にバリヤフリー化推進功労者の内閣府特命大臣奨励賞を受賞しました。このマップをきっかけにその後商店街に「子育て応援団を作ろう」事業に取り組みました。ボラスタの方と遊モアスタッフが商店街を取材して顔の見える商店街冊子を作りました。この関わりが商店街の良さを見直すきっかけになったことは言うまでもありません。商店街の中に公園があります。お祭の会場でも子どもが遊ぶにしても危険が感じられる公園でした。そこで安心して遊べる公園づくりに取り組みました。遊モア利用者。商店街の方。町内の方・公園緑地課・公園援護協会の方たちが公園に集まってワークショップや、遊モアに集まって話し合いを重ね、みんなの声を反映した遊びやすい公園ができました
 ママから「私たちの声を行政は聞いてくれるのですかうれしいです」商店街からは「祭に使いやすい公園になった」子どもたちは「ドッチボールができていい」「1・2歳児も以前より安心して遊べるわ」と声が聞かれます。リニューアルオープニングでは虐待予防のキャンペーンをする中、地域の親子や小学生や中学生の子たちがたくさん遊びに来てくれました。子どもたちの笑顔で商店街の人たちの意識は変わっていきました。
 商店街の方々のボランティアは言うまでもなくいろいろな世代のボランティアスタッフ(ボラスタ)に支えられています。子育て中のママは「私は遊モアで救われました。私の子育て体験がお役に立つことがあれば遊モアのボランティアになりたい」という方、「子の発達を学びたい」「子育て中だから楽しいイベントをしたい」という子育て中のママが集まってできたサークルです。有機野菜を販売したりフリーマーケットをしたり、食育について学びたいと企画しています。子育て中だからできることを仲間と楽しんでやっています。ママたちがボランティアをしている間パパがお子さんと遊んでいる様子が多く見られるようになったのです。パパもお友だちを作って楽しんでいます。遊モアでは地域の力に支えられています。助産師さん・消防署の方・保健師さんが専門を生かした話をしてくださいます。また近くににある4園の公立保育園の先生が毎月輪番でお話し会をしてくださいます。北区社会福祉協議会とは防災講座に取り組み、商店街の方・主任児童委員・婦人会・町内会遊モア利用者の方々が防災ボランティアの方々と柳原公園や遊モアで体験学習をしました。中学生は職業体験でボランティアに来ていただきました。大学生は「子育て支援を学びたい」「NPOを学びたい」と言ってボランティアしています。


「命の交流事業」を学校と連携

 2年前まめっこスタッフは青年会議所の方と一緒に遊モアボランティアのママたちの協力で小学5年生に「教室に赤ちゃんがやって来た」という講座を行ないました。昨年から高校生を対象とした。「教室に赤ちゃんがやって来た」を実施しています。高校と臨床心理士や助産師・地域看護を専門としている大学教員とまめっこスタッフ・遊モアの利用者・子どもの虐待予防に関わっている方とプロジェクトを作って高校生と赤ちゃんのふれあい事業に取り組んでいます
 子育て拠点「遊モア」が商店街にあることでこの6年間街に子どもの笑顔があふれて人々の意識や街の様子が変わりました。名古屋市では「子育てサロン」という位置付でしかない「名古屋つどいの広場事業」ですが地域の人をつなぎ「地域の子育て力」を育てていきたいです。