「あしたのまち・くらしづくり2008」掲載
<企業の地域社会貢献活動部門>あしたのまち・くらしづくり活動賞 振興奨励賞

企業が連携して行なう地域美化ボランティア
東京都港区 Green Road SIX
企業・地域連携

 ―企業が単体で行なう社会貢献活動/環境保護プログラムは多々ある中、企業が連携して行なう先駆的な地域美化ボランティアとして評価を得ている。
【地域との連携】
 当初は3企業による活動であったが、麻布法人会や麻布地区/赤坂地区総合支所、六本木ヒルズ自治会等の地域組織、さらには六本木T-CUBE付近で駐車場を運営し「東京ふれあいロード・プログラム」協力団体である(財)東京都道路整備保全公社からも社員が参加するなど、地域や関係者を巻き込んだ活動として発展している。
・第2回(2006年4月)、第5回(2007年3月)大会では六本木ヒルズ自治会と共同活動を行ない各回約200名超の参加があった。
【社員啓発】
 企業連携により、規模の拡大のみならず社員がお互いに刺激/啓発しあい、各社のボランティア精神涵養にも貢献している。
【実働による貢献】
 企業の社会貢献にありがちな金銭や物品の寄付ではなく、休日にボランティアとしてゴミ拾いを行なうことで、働く街を「実際に動いて」美化している。


参加促進

―社員とその家族のボランティアによって成り立っているので、参加しやすさを重視している。
【用具】
 参加企業及び港区の協力を得て各回幹事が準備している。手ぶらで参加できる利便性も活動継続の一因と考えている。
【安全】
 清掃グループごとにリーダーや交通係をおき、活動中の安全確保にも留意するほか、万一の事故に備え保険にも加入している。
【費用】
 費用全額を3企業の応分負担及び東京都からの助成金で賄い、参加者の負担はない。
【独自企画】
 楽しみながら活動できるよう幹事企業が独自に企画。
・六本木/赤坂地区名所めぐり(第3回大会2006年6月)
 氷川神社を清掃のゴールに据え、神主より神社の由来を拝聴。都心の自然の中で静けさ、涼しさを体感するとともに毎日働く街の魅力を再発見した。
・ゴミ「もったいない」クイズ (第4回大会2006年10月)
 清掃を行ないながらコース途中でゴミに関するクイズに回答していく。終了後の懇親会で答え合わせを行ないながら「回収されたゴミのその後」や「ゴミ処理にかかる金額」等、意外と知らないゴミにまつわる知識を習得した。
【懇親会】
 清掃終了後、毎回幹事企業が懇親会を企画/開催している。美化活動のみならず、企業をこえて社員やその家族間の交流の場となっている。
・障がい者福祉施設からカレーの提供や、幹事企業による韓国民族芸能披露と伝統料理提供等
・「3企業の素顔クイズ」と題して参加各社にまつわるクイズを出題。清掃活動だけでは達成できない相互理解を促進した。


緑化活動

【経緯】
 清掃活動から一歩進んだ地域環境美化を行なうため六本木3丁目付近歩道の緑化を3企業で検討。東京都の助成プログラム「東京ふれあいロード・プログラム」に企画を申請した。2007年2月に認定を受け、同年4月から活動を開始した。
【助成】
 東京都より2008年、2009年と連続して高評価にもとづいた助成金を受け、緑化活動費用を賄っている。単発ではなく、社員ボランティアによる年間を通じた継続活動が評価されたものと考えている。助成金は年3回の緑化活動に活用されている。
【植樹】
(調達)植える品種についてはGreen Road SIX参加の麻布法人会より地元業者の紹介を受け、都度、相談/調達している。車の通行量が多い通りに面した厳しい環境の下、丈夫に育つ品種を選定してもらい植えている。
(規模)2007年4月の初期の植樹に際しては幾度となく現場見分を行ない、約70平方メートルにアベリア等の常緑種70株を植え、緑化地帯の陣容をととのえた。同年6月以降、年3回の大規模活動にあわせ、季節ごとの花を各回平均170苗植えている。夏季にはマリーゴールド、冬季にはセンパ等丈夫で長く咲く品種を選び、道行く人の目を楽しませている。当該歩道に花が咲くようになったのは、Green Road SIXが活動を開始してからのことである。
(工夫)年3回の花植えは社員の子どもが中心となって行ない、親子での共同作業を楽しみに、家族連れで参加する社員が増えている。植物に加え土中の昆虫を観察する等、子どもたちにとって自然に触れるよい機会ともなっている。
【日常管理】
 年3回の植樹後は水遣り等の日常メンテナンスもGreen Road SIX3企業で行なっている。
(頻度)毎週木曜日の終業後30分間を水遣り/清掃ボランティアの時間と定め、有志社員で維持管理をしている。特に夏季は毎日水遣りを行ない緑の維持に努めている。その結果現在では剪定が必要なほど常緑樹が成長している。
(成果)毎週の継続により緑が維持されていることに加えて、週例活動時には東京都道路整備保全公社が運営する駐車場の清掃も行なっている。公社側のパトロールとも連動して美化に務めた結果、駐車場内のゴミが激減した。企業連携のみならず、地域を良くしようという人々を巻き込んだ活動に発展している。参加社員の「自分たちで守っていこう」という意識が根付き、週例活動は2008年6月で50回を超えた。


波及効果

―企業のボランティアによる地域緑化事例として他企業への波及効果が生まれている(ユニクロ)。
―元来、六本木の道路はきれいとは言えず、タバコや空き缶のポイ捨てをはじめ、ビニール袋に入れられた弁当一式等、大きなゴミが平気で捨てられているのが現状である。緑化地域も以前は空き地であったため、心無いゴミのポイ捨てがあとをたたなかった。しかし、緑化活動を開始し、緑や花が増えてからは少しずつゴミが減少している。気持ちを和ませる花を植えたことと、週例活動による美観維持の抑止効果が大きいと思われる。