「あしたのまち・くらしづくり2006」掲載 |
<企業の地域社会貢献活動部門>あしたのまち・くらしづくり活動賞 振興奨励賞 |
安心で安全で居心地のいいまちは自分たちの手で―ちょっと応援 まちづくり― |
兵庫県神戸市 大日六商店会(大日通周辺地区まちづくりを考える会) |
1995年1月17日、午前5時46分に起こった阪神淡路大震災で、私どもの地域も大きな被害を受けました。助けてあげたくても道具がないために時間ばかりが過ぎてしまったこと、自衛隊の方々が救援活動に来られた時、的確な情報が出せず、救出に手間取ってしまったこと、顔や名前がわからない方はなかなか助けることができなかったこと、など地域コミュニティの連携が機能せず助けることができなかった方々に対しての、反省と申し訳のなさから普段から積みあげていく地域スクラム作りに取り組んでいこうと思いました。 商業者の仲間や年齢の近い友人たちに声を掛け、自分たちの「まち」は自分たちで作っていく「ちょっと応援まちづくり」活動を1999年から始めました。 災害時にいち早く手を差し延べなくてはならないのは子どもたちです。地域連携の第一歩は小学校との連携です。何度も校長先生、教頭先生とお話をし「まち」の考えを説明しました。当初は児童たちを何かの営利なことに利用するのではないか、学校の信用力を利用するのではないかと疑われ、なかなか進まなかった連携でしたが、時間をかけ一つずつ積み上げていく中で、少しずつではありますがドアが開き始めました。 私どもの提案が本当の意味の子どもの見守りや、顔と名前の分かる関係作りが、いざという時に必ず役立つことなど、ご理解がいただけるようになり、数多くの連携事業の実施に結びつくようになりました。 兵庫県、神戸市の行政側の支援、サポートも同時進行でお願いをし、一緒に汗をかいていただき「まち」の活動をできる限り見ていただきました。 提案し、協議し、実施し、成果を出すことを繰り返すうちに、新聞各紙、メディアにも数多く取り上げていただき、連携の仲間を増やす良い説明にもなりました。 「まちづくりは自分たちの手で」を始めて7年が経ち、最初にお付き合いをした小学生たちは高校生になっており、現在、気軽に「時間があったら手伝ってね」という言葉に、素直に「ハイ」という返事をくれます。自分たちが住み、小学校に行き、生活をしている地域に対して、応分の協力や貢献をすることは、ごく当たり前のことで、難しく考えずに参加してくれます。継続は「力」だと強く感じます。地域の皆さんに次の計画をお話する時、一日つぶして参加してはいけませんと必ず申し上げます。15分でも30分でもあいた時間を下さいと言います。また、ポスターのピンがはずれている時、貼り直して下さるだけでも大切な協力ですと申し上げます。 「まちづくり活動」は長い長い活動です。途中で息が切れないように、ゆっくりと進めていくことが大事だと思います。ほんのちょっと応援する、短い時間だけ参加する、片づけぐらい手伝うよ、このような気持ちが大切なのです。 現在、連携をしている18団体の皆さんとは、このような気持ちを持って連携させていただいています。18年5月12日には「ナイチンゲール生誕の日」ということで、連携している総合病院さんの看護フェアという事業を一緒にさせていただきました。その日は小学校のPTAの皆さんも多数お見えになり、病院の管理栄養士さんとすっかり仲良くなり、6月2日に小学校で予定されている給食試食会に、是非来て食育の大切さ、朝食の大切さを講演してくれませんかと話が進み実現しました。 連携の仲間から仲間へ発展していく「まちづくり」が、いざという時に必ず役に立つスクラム作りに寄与することは間違いありません。 子どもとシルバー世代の安心と安全を守り、居心地の良い「まち」を自分たちで作っていく、商業者が中心的役割を担っているまちづくり活動ではありますが、商業活性は後回しでよいのです。「まち」が元気になれば、勝手に活性はついてきます。商業者の持っているネットワークや市場、商店街が持っている機能を大いに発揮して、今後も「ちょっと応援まちづくり」を進めていきます。 【主な活動内容】 (1)阪神・淡路大震災メモリアル「鎮魂火」…毎年1月17日実施 (2)特別養護老人ホームヘの出張市場‥・毎月第2、4金曜日実施 (3)放課後の居場所作り「ちょっと見守りたい」…小学校4生以上を対象 (4)希望の輪「千羽鶴プロジェクト」・‥震災10年の節目 (5)必ず役に立つ「防災カード」の制作‥・まちづくり朝会議で提案、実施 (6)みんなで作る「防災と備えの絵本」の日本語版、英語版の制作 (7)みんなで作る「防災と備えの絵本」のインドネシア語版制作中 (8)修学旅行で震災・災害時対応・復興を学ぶ中学生の受け入れ (9)まちづくり「地域通貨」事業の実施 (10)その他 ①ふれあい広場の運営(年間100日) ②まちづくり朝会議の実施(年間10回) ③ふれあいサロンの運営(年間280日) ④ふれあい給食会への参加(年間24回) ⑤ふれあい午どもまつりの開催(年間80回) ⑥「まち」の先生としての小学校での授業(年間12回) |