「あしたのまち・くらしづくり2006」掲載
<食育推進活動部門>あしたのまち・くらしづくり活動賞 振興奨励賞

自分の健康は自分で守れる子どもたちを育てよう
三重県明和町 食育げんきッズ
ボランティア団体「食育げんきッズ」の紹介

 私たちは食を通して微力ですが、何か社会貢献できないかと活動しているメンバーです。各自の子育て経験や特技、趣味、資格などを生かし、自分たちでできることを一つずつ手作りで積み重ねてきています。家庭を第一に無理なく協力し合いながらの活動です。食育・げんきなこどもたち(キッズ)からネーミングし、あえてひらがなカタカナを文字ってつけました。キャラクターも赤・黄・緑のキッズでデザインしました。


活動の動機

 平成13年に、自分たちの子どもが通っていた保育園の保育士さんから朝食を食べてこない子が増えているという話を聞きました。食べてこない子は、朝からごろごろしていて元気に遊べないので、園で何か食べさせるときがあるということでした。
 また、生活習慣病や骨折しやすい子どもたちが増えてきていることを知りました。飽食の時代でありながら、必要な栄養素はなかなか摂取できていないという話なども聞きました。超高齢化の問題を考えると病気にならないように、寝たきりにならないように、一次予防に力を入れていくことが重要だと考えました。そこで小さい頃からの食育が必要であり、同じ子どもを持つ親として私たちでできることがないかと話し合い、朝食の大切さを指人形で園児に伝えたのが食育げんきッズの活動の始まりです。


活動の目的

 子どもたちに、人間は命をいただいて、生きていることを感じとって欲しいと思います。生命の大切さや、自然の恵みのありがたさを伝え、五感を通し、子どもたち自らが発見してほしいと思います。また「いただきます」の言葉の意味を一緒に考えていきたいと思います。子どもたちが将来にわたり、心身ともに健康で豊かな生活をおくるには、なぜ、何を、どれだけ、どのようにして食べれば良いかを身につけてもらうことです。自分の食は自分で考え、自分の健康は自分で守れるように育って欲しいと願って活動しています。


活動の工夫やねらい

 園や学校の生活とはちょっと違った雰囲気の中で、楽しみながら興味を持ってもらえるように、自作自演の劇をしたり、手作りの媒体や、地元小学校でアンケートをとらせていただき、それをもとに資料を作り活用したりしています。子どもたちの生の声を聴き子どもたちが考えていること、反応などを次回へ生かせるよう心がけています。食材や作ることへの興味をもてるように、調理実習のお手伝いもします。五感の話をし、身体全部を使い食事を作り、食べているということを感じて欲しいと思います。食べることが命の源であり、いかに大切かを・・・。さらに学級通信などを通して食育内容等を各家庭へ発信してもらったり、親子料理教室を開催し、家庭でも食について考える機会を持ってもらえるようにしています。また、子どもだけのクッキングでは自分でできたという達成感や自信、起こりうる様々な体験、感動、協調性、危険予知能力など育めるようにサポートします。講演会などを開催して、ともに食と健康を考えるように取り組んでいます。生活習慣病の増加や、脂肪、砂糖の取り過ぎ、欧米食、つい便利簡単なファストフードに偏りがちな食習慣を変えるために今一度、昔から食べてきた和食の良さを見直してもらい、特にご飯と味噌汁の組み合わせの良さについて伝えています。


活動経歴

 平成13年度「なぜ朝ご飯をたべるの?」 指人形劇 11月なりひら保育所(約60名)、12月ささぶえ保育所(約70名)、12月育児サークルひだまりキッズ(親子約50名)。子どもたちは興味深く見てくれました。そして朝ご飯の大切さも感じてくれました。次の日1人の園児から「朝ご飯をお母さんが作ってくれない」という話を聞き、食事の大切さを家庭にも伝えていかなければと感じました。
 平成14年7月「食べたものは体の中でどうなるのかな?」エプロンシアターを使って消化の話と「栄養の話」劇 1月「良いおやつ、悪いおやつ」、アンパンマンの劇 大淀小学校1年生(約30名)。先生から「給食の残飯が減った。しっかり食べる子は意欲がでてきた」との感想をいただきました。
 平成15年度10月「食べたものは体の中でどうなるのかな?」エプロンシアターを使って消化の話と「栄養の話」劇 11月「好きなものばかり食べていると体はどうなるのかな?」、アンパンマン劇 1月「自分達で育て収穫したかぶを使って料理をする」かぶの栄養についての話と、調理実習 大淀小学校1年生(約30名)。かぶを育てたことで収穫までの大変さと植物にも命があることを知ってもらえました。子どもたちは五感を使って調理し、料理に興味があり、意欲的に取り組んでいました。12月「好きなものばかり食べていると体はどうなるのかな?」アンパンマン劇 大淀小学校2年生(約30名)、2月「食べたものは体の中でどうなるのかな?」エプロンシアターを使って消化の話と「栄養の話」赤黄緑キッズ劇 勢和村中央保育所、1月「砂糖と脂肪の話」とりすぎると体はどうなるのか?、2月「食事のバランスについて」主食・主菜・副菜についてパワーポイントを使い説明、児童に献立を考えてもらう。バランスの悪い食事をしていると体を作っている細胞がガタガタになって、病気にかかりやすくなり、けがをしても治りにくい体になることを話す。細胞は新しくどんどん作られていくから今からでもおそくはない、バランスの良い食事をしよう。手作りのオリジナル細胞(段ボール等廃品で製作)を使って説明したところ、見慣れない模型にとても興味をもち、理解してくれました。大淀小学校5年生(約40名)
 平成16年度6月「食べたものは体の中でどうなるのかな?」エプロンシアターを使って消化の話と「栄養の話」赤黄緑キッズ劇とクイズ、7月「好きなものばかり食べていると体はどうなるのかな?」アンパンマン劇 「ジュースなどに含まれる砂糖の量」上御糸小学校1年生(約40名)2年生(約45名)3年生(約35名)、7月「消化、栄養、ジュースなどに含まれる砂糖の量」エプロンシアター、うんちの話、赤黄緑キッズ劇、クイズ「豆腐とひじき入りサラダ」地元の食材を使った調理実習 大淀小学校5年生(約40名)、7月「好きなものばかり食べていると体はどうなるのかな?」アンパンマン劇「ジュースなどに含まれる砂糖の量」地域の交流会わかたけ童謡を歌う会(約30名)、9月「大豆・枝豆・豆もやし」手作り紙芝居と「食に関する○×クイズ」「おから餅作り」 地域の交流会 なりひらわいわい塾(約30名)

*講演会…「食事が育てる心と身体」6月13日講師(医学博士 駒田総子先生)ユーモアを交えて楽しく、実践できるお話で好評でした。食生活を見直すきっかけになったようです。参加者25名父兄の参加はあったが、食育に関わる先生方の参加が少なく残念でした。ゆえに私たちはもっと活動して食育の大切さを伝えようと思いました。

*親子クッキング…地元出身のお豆腐屋さんにお願いして「豆腐作りとひじきご飯」に挑戦7月26日講師(竹内豆腐店)20名の親子が参加 大豆が豆腐になることを知りものつくりを体験しその感動とできたて豆腐の味に満喫しました。親子で体験し、食に関する共通の話題ができ、お家でも料理のお手伝いがしてもらえそうでした。

*講演会…「今の食事で大丈夫」11月23日講師(上瀬クリニック医院長 上瀬英彦先生)専門的なお話をお聞きすることができる良い機会となりました。
平成17年度の活動内容
 双葉幼稚園・みどり保育所・明野幼稚園・勢和村子育て支援センター(おひさま)・大淀わいわい塾・上御糸小学校1、2、3、5年・大淀小学校1、2、5、6、年を対象に各年齢に応じた話や調理実習、紙芝居などの食育活動、また松阪中京大学文化祭、栄養改善大会において私たちの活動内容の展示や、食育研修会(松阪庁舎)でのパネルディスカッション参加と寸劇、などいろんな場で活動をさせていただきました。


活動の成果

 @食べ物の働きを理解してくれたことで嫌いなものも食べる努力がみられ給食の残飯が減った。担任教師から報告を受けました。A食べたもので体が作られていることを知り、なぜ良い食事をしなければいけないか、食に興味を持ってくれるようになった。B家庭でも食について考える機会を持ってもらえるようになった。子どもから教えられ、野菜を食べることで便秘解消の朗報を親から聞けました。C調理実習をしたことで作る楽しさ、大変さ、満足感、達成感、また感謝の気持ちなど各々関係者、子どもたちからお便りが届きました。
今後の課題
 @単発でなく継続して行なう食育を考える。年齢層に応じたかカリキュラムを考え、保育士、教員の協力のもと子どもの成長に準じた活動をどう推進していくか。A子どもだけでなく、家庭に食の大切さをどのように伝えていくか。Bわかりやすく伝えていくにはどのように話すか、言葉の選び方、媒体の作り方など。C食を身近に感じてもらえるように、手軽に見られる紙芝居や絵本の作成をどうしていくか。D食育げんきッズの依頼が増えスケジュール調整と内容の充実。E食に関する新しい情報収集に努め、自らも学びながら活動していこうと考えています。